最大手のスタンダード/ヘヴンヒル蒸溜所

ヘブンヒルのオールドボトルの在庫がなくなりそうなので新旧一緒に記念写真。
その歴史と味の違いを記しています。

Heaven Hill

ヘヴンヒル蒸留所

ケンタッキー州バーズタウンを本拠とするヘヴンヒルは1889年創業。
本格的なバーボン蒸留は禁酒法後の1935年からだが、ウイスキー専門の独立蒸留業者としてはアメリカ最大手の企業です。

経営はシャピラ・ファミリーが行い、現場を取り仕切るのはビーム家の子孫が、創業当初から「味の最高責任者」であるマスター・ディスティラーとして今もその味を守っています。

現在、本家ジム・ビーム蒸溜所のマスターディスティラーは、ビーム分家のノウ家が行っているのに、ヘヴンヒル蒸溜所ではビームの名を残した末裔がマスター・ディスティラーというのがおもしろいですね。
ヘヴンヒルは酵母もビームのものを使用するなど、ビーム家との関わりが深く、現在のマスターディスティラーも本家の5代目ジム・ビームの甥のアール・ビームが行っています。

酵母をモルトのスイートマッシュの中で増殖させる際、腐敗を防ぐためのホップを少量入れたり、
発光槽にイトスギ材を使うといったケンタッキーの伝統的なウイスキー製法を採用するこだわりや、
他の蒸留所のように夏季に休むことをせず四季を通じてバーボンを作っていくことと、
熟成中の樽を寝かす倉庫には外気を通わせ、温度も湿度も調節しない自然体な熟成方式を採用するなど、
効率と伝統のバランスがいいように思います。

ヘヴンヒルのウイスキーレーベル

ヘヴンヒル蒸留所の人気商品はたくさんありますが、その中でも特に有名なものが2つ。

ひとつは、バーボンウイスキーの父と言われる牧師、エライジャ・クレイグの名を頂く「エライジャ・クレイグ」を1986年に発売し大ヒットしました。
E.クレイグとは開拓初期のケンタッキーで、先駆者として様々な事業を興した伝説的人物で、焦がした樽でウイスキーを熟成させる方法を見つけたと言われています。
もうひとつは、バーボンの祖といわれるエヴァン・ウィリアムズの名を冠した「エヴァン・ウィリアムズ」です。彼は初めてとうもろこしから蒸留酒をつくった人物と言われています。

この2つのレーベルはどちらも同社を支えてきた看板レーベルであり、今でも人気商品です。

ヘヴンヒル・ウイスキーはバーボンらしい味わいと、さっぱりした口当たりながらモルトの香味が強く、それが人気の秘密となっています。
日本ではヘビータイプのエヴァン・ウィリアムズのほうが知られていますね。

ヘヴンヒルのスタンダードレーベル

ヘヴンヒル蒸留所の名をそのまま使用したスタンダードレーベルもあり、
「ヘブン・ヒル」は5年熟成、
10年熟成の「オールドヘヴンヒル」、
12年ものの「オールド1889ローヤル」のほか、様々なタイプがありましたが、
1996年に起きたウイスキー貯蔵庫の大規模火災でほとんどの原酒を失ってしまい、
現在は一種類の「ヘヴンヒル」のみ販売されています。

 

1999年にI.W.ハーパーで知られるバーンハイム蒸溜所を買い取り製造を自社設備で再開できるようになり、他ブランドを吸収してその生産を今でも多く引き継いでいたり、
ボトラーズ向けの販売も積極的に行っているので、同社製のウイスキーのかなりの部分が他社ブランドとして売られています。

見慣れない銘柄でも、だいたいスクエア・ボトルで首のながーいものだとヘブンヒル原酒かなとか想像していました。

キャッチフレーズは「バーボンが生まれたケンタッキーで最も尊敬されているバーボン」
「質に妥協なし、最後の一滴まで良質」など

自社ブランドを称える文句が多い

Heaven Hillというのは最初に土地を売ってくれた農場主William Heavenの名に由来する。
はじめは一単語だったが印刷ミスで二語になったという逸話が残っています。

さて、スタンダードボトルのお味のほうですが、
現行品は、香りはシナモンやモルト、味はさっぱりとした甘味からスパイシーへ変化、苦みが収束するとバニラ様の甘さが香る。
ハーブのような爽やかさもあわせもつのでストレートでも、ハイボールにしても美味しくいただけます。

オールドボトルは、より爽やかな香り、ハーブやチョコミント、味の甘味から苦みへの変化は現行品と似ているが
スパイシーさと後味のハーブ様がより際立つ。
バーボンとしては珍しい味という印象。

最後に味見をしてみたいという方は、残っていればお出しします。

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