モスコミュール
Moscow Mule
”モスコ”ってどんなカクテル
大人気の定番カクテル、モスコミュール。通年人気で、シーンを選ばず気軽に飲める、そんな印象があるのではないでしょうか。日本でも通称「モスコ」と言われ親しまれています。
とはいえ、あのときのモスコは甘すぎたとかきつすぎたとか、そういう経験があるのではないでしょうか。
実は、シンプルなカクテルほど作り手によって味にばらつきがでやすいのです。
シンプルな定番カクテルといえばジントニックなどが思いつきますね。スピリッツを炭酸系のジュースで割る、という点でモスコミュールと似ています。ただし、モスコはジントニック以上に味の振れ幅がはっきりしています。
ちなみに、Moscow Muleの”Mule”とは、ラバという動物のこと。ロバと馬のいいとこ取りをしたような能力を持ち、ロバより力強く、馬より乗りやすい。乗用や家畜としてはもちろん、輸送用や軍用としても世界中で重宝されてきた動物だそうです。(wikipedia/mule,ラバ)
重荷を載せて長距離を移動できるラバ。その足腰は相当力強いはずですが、カクテル・モスコミュールもそれくらいキックのある飲みごたえ、という解釈もできます。
また、”Moscow”とつくのは、ベースとなるスピリッツにウォッカを使うからです。それではモスコミュールの材料を見ていきましょう。
基本材料とレシピ
モスコミュールの材料は、ウォッカ、ジンジャーエール、ライム果汁、が基本。
ジンジャーエールで割るので、ウォッカ・バックともいえますね。
レシピは、
- 氷を入れたタンブラーなどのグラスに、
- ライム果汁を絞り入れ、
- ジンジャーエールで満たす。
かんたんそうに見えるレシピですが、だからこそ、作り方や素材が味に与える影響は大きい。
美味しく作るには、素材選びと手抜きをしないこと、です。
どんなにおいしいビールも、樽やサーバーの管理がされていないとまずいのといっしょ。
モスコミュールを美味しく作るアイデア
その1 生のライム果汁を使う
これはほぼ鉄則。モスコをキックのあるカクテルにするにはライムの青い柑橘の風味が欠かせません。よくあるライムジュースでは甘すぎて、酸味の足りないカクテルになってしまいます。
ウォッカは普通のものでいいですが、できる限りライムは生のものを使いましょう。
その生ライムをどれだけ使うか、1/4か、1/2か、はたまた1/8?かは、完成の味から逆算しましょう。
果汁として絞るだけなのか、グラスに添える、または皮ごと入れるかは、それぞれのセンスです。
生ライムの絞り方は、果肉だけをつぶすようにし、白皮部分はつぶさない。そうすることでえぐみのないフレッシュ果汁が絞れる、と知られています。
コツは、絞りすぎないこと。個人的には、ライム果汁を半分ほど絞り出し、果汁と果肉の残ったライムをグラスの中に入れていました。
生ライムの選び方、まん丸に太っているものを選ぶこと。
皮が分厚くない、硬そうじゃない、乾燥していないもの。
実際にモノにさわれるなら、二つの同じ大きさのライムを手に取って量り比べることで、どちらが果汁を含んだ果肉が多いか、乾燥していないか判別することができます。素手だと、しっとりとしているかどうかもなんとなくわかりますよね。
売り物ですので、あまりグニグニ押さないようにしましょう。
その2 ジンジャーエールにこだわる
市販のジンジャーエールでは甘すぎることが多いので、割材にジンジャービアをつかうと、格段に美味しいモスコミュールを手軽に作ることができます。ジンジャービアは少々高いのですが、その味の違いは抜群です。
モスコミュールは割材でビルドアップする製法のため、どうしてもこのジンジャーエールの良しあしで全体の味が左右されやすいです。
定番のジンジャーエールを使う場合、よくある辛口ジンジャーは△、モスコミュールには不向きかなと思います。作る前から味が濃すぎる材料は、たくさん使えません。甘すぎも良くないが辛すぎも良くない。
色んな材料を知っておいて、自在に調合できる事が、カクテルの醍醐味、最大の利点です。納得いく材料がそろわない場合でも、他の要素(ライムやグラスやスパイスなど)でおいしくすることはできます。基本は普通の(甘すぎない・やや甘い)ジンジャーエールでOKです。

その3 スパイスにこだわる
ジンジャーエールの選択肢があまりないのが実情、であれば基本レシピにスパイスを加えてグレードアップしてみましょう。
モスコミュールは、味の繊細さよりはキックを楽しむカクテルです。スパイスの足し算で風味だけを複雑にしていくことが可能です。
スパイスは、クローブがおすすめ。手軽で、即効性がある。
かといって、グラスにそのまま投入しては浮いてきて飲みにくいので、少し工夫が必要です。
ではどうするか。私がやっていた裏技は、ライムに隠し入れていました。
ライムの果肉に切れ目を入れ、その中にクローブ忍ばせる。そうすることで飲みながら長く楽しめる一杯になり、見た目も飲みやすさも損なわれません。まさに隠し味といったところです。ライムをあまり初めから絞りすぎないことで、果汁といっしょにスパイス成分が流れ出ます。
手軽なうえに即効性があるので、ぜひお試しあれ。
他にも、シナモンや八角がモスコミュールと相性よいと言われます。
私は当時、店舗でのオペや手軽さを考えると、クローブだけで十分という結論でした。
それよりライムの品質と絞り方にこだわるべきかな。その方が断然美味しいものが作れます。
その4 グラスにこだわる
モスコミュールを飲むときは、一般的なタンブラーグラスより銅製のマグカップがいい、モスコと言えばこれ!!という印象があります。(下にリンクを貼っておきます)
銅製のカップによるキンキンに冷えた飲み口、そのクールな見た目。Moscow Muleのキックを仕上げるのはこのマグカップを差し置いてほかにないでしょう。
その形状は様々なものがありますが、個人的には薄いものより厚手なものが好きです。すぐに冷える代わりに氷もすぐ解けやすいので、一度カップを十分冷やしておく必要があります。
太目なカップには、生ライムをカップの中に入れやすいという利点があります。カットライムがカップの淵にかけられていることがありますが、これをドボンと入れることで絞り切れなかった果汁も楽しむことができます。”追いライム”もしやすいですね。
細めなカップは、ライムが氷の上に出てきやすいので、見た目が楽しく、香りを感じやすいです。ちょっと飲みにくいときはストローを使うことで解消。ストローでは酔いやすいという人のために、氷をクラッシュドアイスにしてあげることで、氷が溶けやすく飲みやすくなります。(飲みやすいからと言って一気に飲むと、当然酔いますので注意)氷が詰まりにくいストローを記事の最後にリンクしておきます。

その5 氷にこだわる
最後に、カクテルでは欠かせない氷について。
製氷機の氷だと溶けやすいですよね。
お店では氷屋さんから買った氷を切り出したり、家でもかち割り氷を使ったりすることで、なるべく溶けにくい氷で長く楽しむことができます。
氷は角が少なくて大きいものが溶けにくいのですが、モスコミュールのような炭酸カクテルを飲むとき、あまり大きな氷ひとつより、グラスに大小いくつか氷がある方が飲みやすいのではないでしょうか。
その際、多少角ばっていた方が、氷が安定して飲みやすいと思います。
家でもタッパーなどで大きめの氷を作って、かち割り氷をつくることができます。事前に作っておいたかち割り氷は、なんだか溶けにくく感じますよね。
製氷機の氷でも普段開け閉めしない冷凍室に保管しておくと、かたく締まった状態をキープしやすいです。
銅製カップの場合
とはいえ、銅製マグカップを使う場合、いくら硬くてもカップが冷えるまでに氷がすぐ小さくなってしまうという問題があります。
そこで、簡単な解決方法は、一度グラスを冷やすこと。
あ、グラスを冷蔵庫・冷凍庫に入れておくことじゃありません。常温のグラスに一度 氷をいれて冷やし、解け出た水は捨てて、そこからカクテルを作ってみてください。そこからなら氷が溶けにくく、カクテルの味をキープしやすいんです。布石ならぬ、布氷とでもいいますか。
これ、バーではおなじみの光景ですね。
冷蔵・冷凍庫で冷やすとグラスに独特の庫臭がうつる場合もあり、その解決のための一手間です。
また、グラスのなかで若干溶かすことで、氷の霜が取れます。さらに氷の角もとれ、杯の中で組まれた氷が安定しやすく飲みやすくなります。
カップに対し氷が少なすぎるようなら、うえから氷を足します。
とまあ、テクニックに話がそれましたが、これだけでもかなり味は変わるのでお試しあれ。
以上、バーテンダー当時のレシピやアイデアを公開しました。
他にもウイスキーに関する過去記事や、最近更新したカクテル記事もありますのでご参考にどうぞ。
ではまた。

