言葉一つで人の関心は変わる/101 Legendary Whiskies

スコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーの勉強に、こんな本を読んでます。

101 Legendary Whiskies

 邦題で「伝説と呼ばれる 至高のウイスキー 101」です。
 ウイスキー好きな方ならチェック済みでしょうが、読む機会に恵まれたので紹介します。
 このタイトル、ちょっと大げさですが手に取って読みたくなりますね。

 101種目、見開きで1項目づつ紹介してあるんですが、これがとっても読みやすくておもしろい。
 見開きでどん と飛び込んでくるのは、左が写真(または絵)、右が文章という構成。その内容がほどよい!

 よくウェブサイトなどであるウイスキーの紹介文は、蒸溜所が何年に始まり…とかから始まり、どれだけ貴重な中身なのか~みたいなことが同じように書いてあるんですが(自分もよくそうなる)、時として誇張されていたり(メーカーのうたい文句からして)、どうやって楽しめばいいのかといったことが少ないような気がするんですね。
 あまり不確かなことは言えないし、ひとによって意見が異なるのがウイスキーなので。
 けど万人が同じ意見をもつことなんてあり得ない、参考程度でいいから人の意見が聞きたいなと自分なら思うんです。そこが攻めれたらいいなと最近おもいながら書いているんですが(イチ個人、しかも少数派の意見なんで気楽です)、この著者・Ian Buxtonという方はその辺りが絶妙。 もちろん訳者の言葉選びも重要だったと思います。

 最もおもしろいのは、この方がユーモアたっぷりに企業や関係者の問題を浮き彫りにするところ。しかもそれが嫌味じゃない。
 途中でてくる写真から、結構ご年配のかたなんだとわかってからは読むのがさらに楽しくなりました。

 ちなみにこの本、原題だとさらに

You’re Dying to Try But (Possibly) Never Will 

とサブタイトルがついています。 意味は「死ぬまでに飲みたい けど(おそらく)むり」でしょうか? あとで気づきましたが、この時点でなんとなくチャーミングですよね。

 

 ところでこの本5000円近くするんですが(!)、この話好きの・引き出しの多い紳士の面白い話には払う価値のある値段だとおもいました。原本は半分か三分の一くらいの価格でしたが。
 この程よい翻訳と別に、ウイスキー文化研究所の土屋守さんのコメントも101つ すべて書いてあるのでなるほど な価格設定ですね。
 ちなみに原文の電子書籍なら10分の1の価格で購入可能です。ビックリ

 

 

 僕がバーをやるようになってアメリカン・ウイスキーとはなんぞや と調べていくうちに、必然とアメリカ合衆国そのものの成り立ちを調べることになり。そしてイギリスや世界の歴史にも目を向けるようになりました。
 ほとんどなにも知らなかった 時代の流れ みたいなものや、他国の文化を知っていくのは本当におもしろい。 
 世界の希少ウイスキーはなぜ希少になったのか。バーで出会った人の話を聞いている感覚で、ウイスキーに興味のなかった人にもおすすめできる一冊です。

 

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