ラーセニー

 ラーセニーというボトルを紹介します。

 これはオールド・フィッツジェラルド ブランドのスモールバッチですが、「ラーセニーってどういう意味?」とか「その前にフィッツジェラルドとはなんぞや」という話に お客さんはなりますから、記事を作っておこうかなとおもいました。

 フィッツジェラルドについては以前も紹介したことがありますが公式HPを見ていると面白いことが描いてあったので改めて更新しようとも。
 そこに書いてあった ”フィッツジェラルドとはなんなのか’”ということを記しておきます。

 

Old Fitzgerald

 ケンタッキー州にあった歴史ある蒸留所で1870年創業で 鉄道や蒸気船などの大会社や、プライベートクラブ専門にバーボンを作っていた会社です。
 蒸留所自体はJohn(Joe) E Fitzgerald という人物がつくったとされますが、 SC Herbstの会社 Old Judge Distillery Co. が所有していました。

 フィッツジェラルドは禁酒法の最中も政府の特別許可を得て バーボンを作り続けてきた数少ない蒸留所です。
 禁酒法当時は WL Weller社の実権を握っていた あのジュリアン・P “Pappy” ヴァン・ウィンクルが保有していました。
 WLウェラーはWheatedバーボン つまり小麦のレシピのバーボンを発明した会社といわれており、フィッツジェラルドの味の滑らかさと そのレシピもWLウェラー社ヴァンウィンクルの方針によるものかと思われます。
 Old Fitzgerald 1849 というブランドがありますが、1849年は William Larue Weller の創業者ウェラーがウィーテッド・バーボンを発明した年に由来しているのでしょう。

 つくりかたは、厳選された材料と 手作業による発酵に時間をかけた入念なサワーマッシュ製法、そして長期熟成という徹底ぶり。
 通常の原料では コーンとライとモルト を使うのが一般的なバーボンですが、ライ麦の代わりにウィート(小麦)を使うことで まろやかさを優先したエレガントな味わいです。
 これをウィーテッド・バーボンと呼んでいるのですね。
 ”Whisper of  Wheat” というキャッチフレーズもあったほどで、”荒々しいバーボン”というイメージしか持っていないかたからは想像し難いことでしょう。

 後に市場に出回ることとなった後もこのブランドに対して憧れや優雅さを感じる人が多かったのは、創業当時の販売先のイメージだけでなく 味そのものの上品さも大きいとおもいます。

 

 

 Larceny

 今回の主題であるラーセニーですが、これは窃盗罪という意味です。
 エレガントなブランドの、現代のスモールバッチがなぜ窃盗なのか。リリース当時は「名門蒸留所の伝統の その盗んでまでほしくなるレシピを唯一公式に受け継いだ」とか書いてあったと記憶していましたが、今回見ると全く違う内容が明かされていたので驚きました。

 「ヴァンウィンクルの伝記によると、JEフィッツジェラルドは熟成庫の保税保安官で 貯蔵庫への鍵を法的に許可された唯一の人物であり、その彼によって流通されていた樽がフィッツジェラルド樽として認識されていた」というのです。

 それが本当だとするとまさに窃盗罪ですよね。
 ただしその彼が素晴らしい味覚の持ち主でもあり、数ある樽の中から上質の出来のものを見つけ出すことが出来たと。だからおそらく、その行為が発覚した後も どうやってその違いを見分けたのか 聞いたのではないでしょうか。

 フィッツジェラルドという素晴らしいバーボンが存在したのは事実であり その名が残り続けているということは、初代オーナーのハーベストも ヴァンウィンクルもOld Fitzgeraldというブランド確率に貢献した人物を讃えてのことだと感じました。

 現在はヘブンヒルが引き継いで製造しており、2018年よりオールドフィッツジェラルドの ボトルド・イン・ボンド復刻版がリリースされています。

 

 どのブランドも最初から いまと同じであったはずはなく、品質やイメージが確立するまでには紆余曲折あって当たり前。 
 アメリカ合衆国という広大な、その創成期から存在するアメリカンウイスキーの始まりは文献が少なく、各ブランドの由来など 未だ未解明なことが多い(それら銘酒の殆どはもうすでに失われました)ですが、その謎に想いをはせながらバーボンを飲むとまた面白いかもしれませんね。

 

 Shot Bar Bourbon Square
  2nd floor, 1-2, Nakaku, Mikawa cho, Hiroshima city
  082-242-3668

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