ニッカ・フロム・ザ・バレル

 お客さんから「これは飲んだことあるけど、美味しいよね」とよく言われることのある
手頃な国産ウイスキーのひとつに、「ニッカ・ウイスキー・フロム・ザ・バレル」があります。

 この反応は 日本だけでなく、海外のお客さんからも よく名前が上がりますよ。

 

Nikka Whisky From The Barrel

あのブレンデッドと何が違うのか

 フロム・ザ・バレル は樽熟成させたモルト原酒(大麦麦芽のみを使用したウイスキー)と、同じく熟成したグレーン原酒(複数の穀物原料を使用したウイスキー)どうしをブレンドした後、もう一度樽詰めして数カ月ほど再熟成させたウイスキーです。

 違うウイスキー原酒どうしを掛け合わせることをウイスキー業界では ブレンド と呼び、ブレンドされたウイスキーをブレンデッド・ウイスキーとか 単純にブレンデッドと呼びます。

 ニッカのブレンデッド・ウイスキーで有名なのは ブラックニッカ ですよね。麦とウイスキーグラスを持った あの ”ウイスキーおじさん” の絵柄が特徴的な銘柄です。
 フロム・ザ・バレルがブラックニッカとなにが違うのかというと、フロム・ザ・バレルは樽由来の香りやウイスキーらしい味わいがはっきりとしている ということでしょうか。

 バーボン樽由来の 焦がしたオークが香りのベースになっていて、そこにモルトやナッツなどの穀物の香ばしい風味と チョコレートや黒糖のビターな甘み、シナモンやクローブのスパイス・フレーバーなど、はっきりとした骨格の上に多様な香味が嫌味なく織り合わさっているのは まさにアメリカンウイスキーやバーボンの特徴を踏襲しているといえます。

 いまブラックニッカは「クリアブレンド」が主要銘柄になっていて度数も37度と低いです。以前は 度数ももう少し高く 味にもう少し深みがあったと思いますが、飲みやすい銘柄と 濃い味わいのものとを分けているのでしょうね。

 

度数の秘密

 度数が51度と設定されているのもしっかりとした味の要因の一つ。
 ウイスキー原酒はもともと60度ほどもありますが、飲み頃にするために各蒸留所自慢の割り水で度数を落として 飲み頃にして瓶詰めするのが一般的ですが、大衆性や量産性を重視しすぎると せっかくの香味を感じ取りにくくなるため、ウイスキー本来の風味や力強さを求める方にはこういった より原酒に近いものが好まれます。

 ポピュラーなブレンデッド・ウイスキーとの最大の違いは、二度目の熟成のあとほぼそのまま瓶詰めしている というところ。ある程度熟成済みのウイスキーを いちどブレンドし、加水調整してから 再び短期間 樽で寝かせることで ウイスキーのバランスをまとめつつ 熟成後の力強さを取り戻すことができます。 

 こうした手法はバーボン・ウイスキーに代表されるもので(バーボンはブレンデッドではありませんが)樽からの風味を存分に楽しむことができます。
 仕上げの濃度を50度ではなくて51度 としている辺りも、バーボンでいう101プルーフ の様な飲み手の心をくすぐる仕掛けになっていて嬉しいですね。

 500mlと少量ながらしっかりと楽しめる一本となっています。
海外向けに2L瓶というのもあったみたいですね。

 

 

シンプルなカクテルにも

 「日本のウイスキーで なにかカクテルを作ってくれ」と さくっと言われたら、私はウイスキーサワーというショートカクテルを このニッカ・フロム・ザ・バレルでつくります。

 味にコシがあるので、シェイクに使ってもウイスキーを飲んでいるという感覚を楽しめるし、今からの旬でもある 地元広島産のグリーンレモンとの相性もバッチリです。

 オン・ザ・ロックやオールド・ファッションドなどでゆっくりと楽しむのもいいですね。

 

 Shot Bar Bourbon Square
 広島市中区三川町1-2, 2階
 082-242-3668

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