前回から引き続き、チャーリングについてのお話です。
今回はバーボン樽の木材のなかで何が起こっているのか、ということを中心に書いていこうと思います。
アメリカンホワイトオーク材の中にはなにがある?
これまでの話では ウイスキーが浸透した木の中で何が起こっているのかまではわからないままでしたが
樽材の木はその中でいろいろな仕事をしています。
働いている職人たちは小さな化合物群たちです。
その職種は4種類あり、それぞれ ヘミセルロース、リグニン、タンニン、オークラクトンと呼ばれています。
これら4つはチャーする度合いによって影響を与えます。
カラメル職人
ヘミセルロースは最も重要な構成材のひとつで
アメリカンホワイトオークが華氏256度(摂氏約124度)もの高熱にさらされたとき、ヘミセルロースは糖質に分解されます。
それは樽内部の表面を僅かながらカラメル化することを意味します。
もし あなたがいままでにバーボンを飲んだとき、ブラウンシュガーやカラメルやトフィーの風味で楽しんだことがあるなら、ヘミセルロースへ感謝するはずです。
だからって大声で叫んだりしたりしないでくださいね、変な目で見られてはいけませんから(原文の流用です)
バニラ職人
リグニンもまた バーボンにとってとても重要です。
これがバニラ味とスパイスの由来だからです。
樽を焦がしていくほど リグニンはスパイスやスモークフレーバーを産み出します。
また、接着剤の原料にもなるため溶剤臭さがきになるウイスキーもこの化合物から由来していると思われます。
渋み職人
タンニン、これは一番馴染みのある名前ではないでしょうか。
赤ワインやお茶に含まれていますよね。
まだチャーがなされていなかった頃は、その濃いタンニンを取り除くために、オーク材は’味付け’され 乾燥され、その代償に多くの要素も同時に失っていました。
しかしそれらの要素は長期熟成を成功させるためには必要不可欠です。
チャー度合いが高ければ高いほど蒸留酒とタンニンの間にはまろやかな相互作用がもたらされます。
ナッツ職人
そしてオークラクトンがあります。
これは多くの種のオークの木に含まれている化合物であり、アメリカンオークにはより多くのオークラトンが含まれています。
彼らは多くのバーボンで感じられるウッディやココナッツのフレーバーの責任者です。
チャーレベルが高いほどオークラクトンの影響は少なくなります。
これら4つの木の中の職人たちが バーボンウイスキーに大きく影響をもたらしているようです。
まさに根幹となる成分も
それともうひとつ、木材そのものを構成している主成分にセルロースという化合物があります。
これはウイスキー自体とは反応しない と考えられています。
木の主成分なので詳しく調べたい方は こちらのサイトがわかりやすいです。
セルロースは骨、リグニンは筋肉であり、ヘミセルロースは脂肪という言い方がおもしろいです。
これらのことを踏まえ、次回はいよいよ、どのくらいチャーをすれば良いのかという核心部分に迫って行こうと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
前回の投稿記事はこちら
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この記事自体の引用は前回同様こちらのサイトを参考にしています。
What are barrel char levels and how do they affect the way my whiskey tastes?
今回のアイキャッチ画像にしているのはウッドフォードリザーブの’フレーバーホイール’です。
風味の構成が一目で解ります。
各社がこういう図を出してくれたら解りやすいですね。
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